【田代親世のゆるふわ韓国ミュージカルDays】

 

韓国ではいくつもの制作会社が主軸となってミュージカルが制作されていますが、俳優が会社を立ち上げプロデュースする作品もあります。

韓国ミュージカル界の皇帝と呼ばれているリュ・ジョンハンさんは2017年に『シラノ』をプロデュースして話題になりましたが、『シラノ』は好評を得て今年の12月から3演目が行われます。

 

 

『シラノ』はフランク・ワイルドホーン作曲、レスリー・ブリッカス脚本という『ジキル＆ハイド』のコンビによる作品ですが、『ジキル＆ハイド』以来の交流があるワイルドホーンさんから「もし韓国で『シラノ』をやるなら君に演じてほしいな」と言われて、台本を読んだところ、このキャラクターは絶対に自分が演じたいと思ったけれど、当時韓国ではまだ上演の予定がなかったそう。

だったら私が制作をするから、やらせてくれないだろうかと冗談のように言うと、ワイルドホーンさんが快く笑いながら「君の挑戦に拍手しよう」と言ってライセンスをくれたのだそう。そうして芸歴20年のトップスター俳優ながら初めて制作にチャレンジすることになったと記者会見で語っていました。

 

 

詩に精通し、剣術にも優れている英雄なのに鼻が人一倍大きいことがコンプレックスで愛する女性に恋心を打ち明けられず、彼女の恋の仲立ちをせざるを得なくなる、一人の男の無償の愛を描いた男のロマンあふれる作品です。

切ない話なのに、見た後に何か温かいものがじんわりと迫ってくる感動作で、こういう作品を製作したいと思ったリュ・ジョンハンさんはロマンチストなんだなあと思いましたし、実際に、心の通った素敵な舞台に作り上げて、本当に素晴らしいなと感じました。

 

リュ・ジョンハン（左）

 

その・リュ・ジョンハンさんは初演も再演時もご自身が出演しましたが、今回は裏方に徹しています。今回は5年ぶりの上演になるにあたって、曲を追加したり修正したりステージも新たに製作されるということでもう今から楽しみです。

俳優たちは基本的にオファーを受ける立場ですが、やはり長年やってくると自らがやりたいと思った作品を作り上げたいという気持ちになるんでしょうね。

 

（文・写真：田代親世）

 

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