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2021.04.09 14:00

大人の韓国+han暮らしまわり通信 ~刺繡編~

 

均一で量産型の工業製品よりも手づくりのものに惹かれ、 大人の韓国 +hanでもそんな温もりのあるアイテムを紹介しています。
特に「針仕事」でできたアイテムに弱い傾向があり、刺繍針山はたくさんの数をストアに掲載しました。

 

(外部リンク)刺繍針山の商品を見る

 

樋口愉美子さん、FABBRICAさん、青木和子さん…日本にも素敵な刺繍作家さんがたくさん!小さなお花や生物・雑貨などとても身近なものをモチーフに作られた作品の愛らしいこと!

数十年前、影響されやすく形から入る私は糸や針、はさみに枠、チャコペーパーまで…ひととおり揃えスタート。結局子供の給食袋に雪だるまを刺繍しただけで満足という過去を持ち、今も道具たちは静かに静かに出番を待っています。

 

昔々…「針仕事」は朝鮮時代の女性にとって必須のものでした。その時代に生きていたら私は間違いなく失格です。

ふと韓国の『아씨방 일곱 동무(アッシバン イルゴプ トンム)』という絵本を思い出しました。
※日本でも翻訳されています。邦題 『あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま』 (福音館)

 

 

赤い手ぬぐいをかぶった針仕事の上手な奥さまが眠った間に、7つの針仕事の道具(ものさし・指ぬき・はさみ・針・糸・こて・火のし※アイロン)たちが騒ぎを起こします。「自分が1番だと」…争いながらもやがて互いに認め合い助け合うことの大切さを描き、今もなおたくさんの人に愛されるベストセラーです。

 

朝鮮時代、女性にとって7つの道具は友であり、針仕事は心のよりどころでした。
儒教の精神が徹底された時代ですので趣味という範囲ではなく労働として強いられたものですが、外出もままならない状況の中でもモチーフや縫い方をあれこれと工夫、唯一自己表現できる場として女性たちは「アンバン」(女性部屋)で夜ごとチクチク…。家族の不老長生を願いながら施す十長生、好きな花を求め自由に飛び回る蝶の姿に自身を重ねたり…。

布団・衣類・小物・風呂敷(ポジャギ)など、それらは生活用品の域を超え驚くほど美しく、まさに芸術といっても過言ではありません。名もなき作り手の作品として大切に保管され韓国の美術館で出会うことができます。

 

渡韓した際にいつもお邪魔するお店があります。古い木工品や陶磁器を置かれているのですが片隅で針を持ちパイプ椅子に座るアジュンマがおられます。鮮やかな色の布に一針一針、小さな布に刺繍をされています。オモニから教えられ、できるのは普通なんだよと。牡丹や菊の花、鶴や蝶。会話をしながらも手の動きは止められず老眼鏡をずらし施す細かいステッチにびっくりしました。

 

(C)lecien

 

韓国の若い作家さんの現代の十長生布を見つけました。これも可愛くて…
また日本でも刺繍キットがたくさん出ていますのでトライしてみようかなとまた心がざわざわしています。

 

小さな雑貨ですが手作りのアイテムはそこにあるだけで作り手の顔が浮かびその土地を思い出させてくれます。
前述のアジュンマの刺繍針山をまたきっといつか皆さんにご紹介したいと思っているのですが、残念ながらzoomなどとは無縁のアジュンマ。
「ここに来て、見て、触って買いなさい」と。それは顔を見せなさいよというあたたかい意味がこもっているのだと思います。

お楽しみにお待ちいただけましたら…

 

(文:+hanスタッフ)

 

 

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