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2025.02.28 15:00

大人の韓国+han暮らしまわり通信「韓服の美しさを伝える東洋画家シン・ソンミさん」

 

2022年、1冊の絵本に出合いました。

한밤중 개미 요정(真夜中のアリの妖精)

韓服をまとう母と子のある冬の夜を柔らかな色彩で描いたお話です。

 

真夜中のアリの妖精,真夜中のちいさなようせい

(画像出処:+han)

 

高熱を患う男の子の前に蟻のように小さく親指姫のように愛らしい妖精が現れます。お母さんはそばでウトウト。夢なのか現実なのか…子どもは妖精さんとあれこれ楽しい時間を過ごします。その妖精は実はオンマの少女時代に共に過ごした大切な友だったのです…。

 

真夜中のアリの妖精,真夜中のちいさなようせい

(画像出処:+han)

 

著者の名はシン・ソンミさん。

1980年生。蔚山大学、弘益大学院で学ばれ2003年韓国国立現代美術館・第22回大韓民国大展を受賞、以降国内外で大活躍される若き東洋画家。

妻であり、1児の子を持つオンマ。この絵本は、育児をきっかけに着手されたと聞いています。

 

シン・ソンミ

(画像出処:+han)

 

シン・ソンミ氏は語られます…

「『真夜中のアリの妖精』は私自身の物語。子どもの頃は身体が弱く、眠っていると本当に妖精を見たのです。実際にモノがなくなることが多く、ああまた妖精が持って行ったんだなと信じていました。そして子どもたちにアリの妖精に会ってほしいと思いました。またこれは私の育児日記でもあります。絵描きですから絵を残そうと…今ではオンマよりゲームに夢中になってしまった息子ですが将来、どれだけオンマが自分を愛し大切にしたとわかってもらえたら…」と。

 

また 「食べこぼした甘いものをめがけ知らぬ間に群がる蟻。そんな蟻のようにふとした一瞬のすきに現れる存在がきっと起こっているのですよ。それは無垢な視線を持つ子どもには見えているもの。しかし成長するにつれ見えなくなり、感じなくなり気づかなくなっているのです。」

この絵本を読みながら小さな子どもはワクワクしながら妖精を探し、大人たちはそんな純粋だった子ども時代のことを思いだし再び過去へと繋がっていくのです。

 

私自身もふとこんなことを思い出しました。やっとおすわりができるようになった幼い息子が上の方を見上げニコニコ。手を差し伸べたり声を発していたり。もしかしたらアリの妖精さんが登場したのでしょうか?

 

 

シン・ソンミさんの絵はドラマでもきっとご覧になられているはず!

イ・ジョンソクさん主演のドラマ『ロマンスは別冊付録』第10話のミーティングシーンでは新刊の表紙イラストとして取り上げられ、『ヒーローではないけれど』では第4話の中で魅力的な役割を果たされています。

 

シン・ソンミ,ロマンスは別冊付録

(画像出処:ドラマ『ロマンスは別冊付録』キャプチャー)

 

また韓国ドラマの中でもたびたび詩集がとりげられる詩人ナ・テジュ氏とコラボした詩画集『오늘은 네가 꽃(今日は君が花)』も発表、ここ数年で個展や著作本の枠を飛び超え、活躍の場を広げられ唯一無二の美しい東洋画を見せてくれます。

 

シン・ソンミ,ナ・テジュ,詩集

(画像出処:マーメイド出版公式Instagram)

 

韓服を描き始めた学生の頃、西洋的なものがおしゃれで東洋的なモノがひどく「ださい」と思われていた時代、「どうして今さら韓服を描くの?」と周囲に思われていたそうです。しかし日本人がきもの美人を描くように、韓国人なのですから伝統衣装を描くことが世界の人に通じ共感を受けるという強い思いを持ち、韓服に固執され描き続けておられます。

 

シン・ソンミ

(画像出処:シン・ソンミInstagram)

 

スケッチを起こし、韓紙にペンで下書きをし墨でラインを描く。髪の毛は1本1本、まつ毛も1本1本…。そして粉の絵具で色を置く。油絵のように上から厚く重ねるのではなく薄く薄くぬり十分に乾かす、また色を薄く重ね乾かす。紙本来の質感を生かしながら染色をするようにこの作業を幾度もくり返します。そう、膨大な時間が費やされています。

 

シン・ソンミ

(画像出処:シン・ソンミInstagram)

 

東洋画というと、山水などの自然や四君子といった花を描く伝統的なイメージですがシン・ソンミ氏の伝統画の魅力は伝統的な技法を用いながらも、韓服を通して現代の日常を描かれているところではないでしょうか。文机に向かいお茶を飲む少女、お母さんのチマ(韓服のスカート)にギュッとしがみつく幼い子、かもすれば携帯電話や計算機に体温計、ソファやスタンド照明にペロペロキャンディー…今の道具を脇役に使いながらも韓服をまとう…。伝統と現代…この振り幅にユーモアを感じ想像をかりたてられてしまいます。

 

シン・ソンミ

(画像出処:シン・ソンミInstagram)

 

華やかで繊細で美しく…次はどんな21世紀の韓服の女性を見せてくださるのでしょうか。

眺めるのではなく読みこみ想像し、郷愁へと誘う愛があふれる画。ずっと見つづけていたい画家シン・ソンミ氏です。

 

シン・ソンミさんの本を+hanのオンラインストアでも数冊ご紹介しております。

 

文・写真:+hanスタッフ

 

 

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