田代親世コラム☆『ベートーベン』シーズン2に臨機応変の底力を見た!
【田代親世のゆるふわ韓国ミュージカルDays】
今年上半期の大きな期待作だった韓国ミュージカル『ベートーベン~シークレット』が1月から3月末まで上演されました。
『エリザベート』『モーツァルト!』などで知られるミヒャエル・クンツェ、シルヴェスター・リーヴァイのコンビによる新たな創作ミュージカルです。
そしてこれが4月の中旬からまた劇場を別に移して上演されたのですが、この日程が発表になった時、あいだが18日間しか空いていないので、てっきり同じものを上演するアンコール公演なのかと思ったら、しっかり「シーズン2」と銘打って、新しい曲を追加して場面も足し引きして、あるキャラクターに至っては性格も変えるという大ナタを振るってきたのでびっくりしました。
というのも、年始めから上演された初演は評判がイマイチだったのです。
舞台自体は華やかだし、なんといっても俳優たちの渾身の歌と演技は見ごたえ十分なのですが、ベートーベンを主人公にしておきながら、耳の聞こえない芸術家の苦悩が表現されていなくて、ただの不倫劇じゃないかとストーリー性の弱さが指摘されていて。期待が高かっただけに、残念な評価が下されていました。
なので、もう上演された初期のころからシーズン2に向けて手直しの作業に入っていたんだろうなと思います。
ただ俳優たちが大変だなあと。18日という短期間に変更点を習得し、主要キャラクターはそれぞれ新しい曲が追加になっていたので、その新たな歌も練習して、ガラッと変わったならまだわかりやすいですが、微妙に変化させていたりするので、こんがらがらないように動線を叩き込まなくてはならないのですから。
でも酷評を食らってしまったシーズン1からすぐにシーズン2を打ち出すことで、じゃあどう変わったのか見てみようという私のような客もいるわけだし、とにかく悪い評価のイメージのままでこの作品を終わらせるわけにはいかないという制作者たちの意地が見えました。
しかし、本当によく臨機応変にやるなーって感心しました。やっぱりこれが韓国の特徴としてすごいところですね。
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