【田代親世コラム】同じ役なのに、こんなに違う! ジュンスとシン・ソンロク、二人の『ドラキュラ』
【田代親世のゆるふわ韓国ミュージカルDays】
韓国ミュージカルを観ていると、同じ作品なのに、演じる俳優によって、まるで別の物語に見えてくることがあります。
今回、『ドラキュラ』を同じ日に、キム・ジュンスとシン・ソンロクという二人のキャストで観ることができて、その面白さを改めて実感しました。


『ドラキュラ』は、400年以上もの間、かつて愛した女性の面影を追い続ける男の物語です。究極の純愛と言えばそうなのですが、考えてみれば、これほど凄まじい「執着愛」もありません(笑)。私はこういうちょっと屈折した愛の物語が好きなので、そこもこの作品に惹かれる理由のひとつなのかもしれません。

ジュンスのドラキュラから感じたのは、とにかく感情の強さでした。ヒロインのミナを見つめる眼差しに、長い年月抱えてきた孤独や痛み、そして「どうしてもこの人を取り戻したい」という切実さが全部出ている。その思いがあまりにも強いので、観ているこちらまで苦しくなってくるほどです。
そして、その感情を真正面から受け止めていたのが、ミナ役のキム・ファンヒでした。
二人がお互いの芝居に刺激されるように、どんどん感情が高まっていく。「今日、この二人、すごくいいな」と思いながら観ていたのですが、終演後、出待ちでキム・ファンヒさんご本人と少しお話しする機会がありました。彼女によると、ジュンスの目を見ているだけで胸が痛くなって、その感情が自然に自分の芝居にも出てくるのだそうです。
やっぱりそうだったんだ!と、客席で感じていた二人の相乗効果が、実際に舞台の上でも生まれていたのだとわかって、とても興味深かったです。

一方、シン・ソンロクのドラキュラは、また全然違いました。こちらには大人の男の余裕と、ちょっとけだるい色気がある。
ジュンスが「あなたがいなければ生きられない」と全身で訴えかけてくるようなドラキュラだとしたら、シン・ソンロクは、長い年月を生きてきた男ならではの妖しさで、じわじわとミナを自分の世界へ引き込んでいく感じなのです。

同じ台詞、同じ歌、同じ物語なのに、演じる人が変わっただけで、愛し方まで違って見えてくる。これが面白いんですよね。
だから韓国ミュージカルは、一度観ただけではなかなか終われません。「あの俳優が演じたら、この役はどうなるんだろう?」そう思ったら、もう次のチケットを取りたくなってしまう。
ダブル、トリプル、時にはそれ以上のキャストが組まれる韓国ミュージカル。大変なんです、観るほうも(笑)。でも、その俳優ごとの解釈を見比べられることこそ、韓国ミュージカルならではの、なんとも贅沢な楽しみなのだと思います。
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